冷蔵庫に朝ごはんになりそうなものが何もないとき、卵かけご飯をする。
きのう地元食材を売る店で買った卵が冷蔵庫にあった。
以前から、あそこの卵は美味しいよって友達が勧めてたもので、平飼いの有精卵。値段はスーパーで買うやつの2倍はしたけど、たまにはいいかって買ってみた。
冷たいご飯をレンジでチンして、少な目にどんぶりに盛る。
卵を器の縁でコツッとやって、白いご飯の上に落とした。とたん、ぱぁっと赤い血が広がった。透明な白身に血が混ざっている。
一瞬ドキッとしてうろたえたものの、そうだった、昔はこういうことがよくあったと気をとりなおした。
僕がまだ小さかったころ、親が庭の一画に小屋を作り、ニワトリを飼っていた。そのころは毎朝のように卵かけごはんを食べていたと思うのだが、まれに血玉が出ることがあった。
そうすると母親に言って、新しいのと取り替えてもらうのである。
「そうだった」というのは、そのころの記憶があったから。
考えてみれば、卵はニワトリの雌のカラダから出てきたもので、血が混ざるのがあってもても何ら不思議ではない。なのに、びっくりしてうろたえてしまったのは、そういうことから遠いところで暮らしているから。
さすがにそのまま食べるのは気がひけたので、ご飯の上の卵をきれいに取り除いて、新しいのを割ってみた。
今度は、透明な白身の上でヤマブキ色の黄身が揺れた。
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