今年も暑い夏だった。
最高気温は40度ちかく、以前なら何年か振りの猛暑なんて言っていたのが、このごろはそれも当たり前のようになってしまった。
夏に家を建てると、風の通り抜ける涼しい家がいいと思い、冬になればなったで、ぽかぽかと暖かい陽だまりのある家が欲しくなる。
家は暮らしを維持し、安息を得るための大きな箱である。
ちょうどいま台風が来ていて雨風がひどいが、こうやってパソコンをいじっていられるのも家があるおかげといえる。
ただ、機能的に快適な家ならどんなものでもいいかといえば、外見も大事だって誰もが思う。できれば人から素敵な家だと見られたい。
暑さ寒さから身を守り、自己表現もするという点で、家は衣服みたいなものだ。
今日は暑いからと言っても裸では外出しないように、誰もがいちおう服を着て家を出る。行くところによっては多少おしゃれを考えたりもする。
ましてや家はずっと大きくて目立つ存在である。つねに人の視線にさらされて、好むと好まざるにかかわらず、家はいつも外に向かって何か主張している。
伝統と格式を感じる家。その土地のどこにでもありそうな普通の家。お金をいっぱいかけたぞって言っている家。シンプルな作りの家。派手な家。変わった家。かっこいい家。かわいい家、などさまざま。
家の印象は外壁でだいぶ違ってくる。新築するにあたって、外壁を板張りにしようというのは早くから決めていた。
木工を生業にしているんだから木の家、というのもある。それに多少とも林業の現状を見ていれば、家一軒ぐらいじゃ貢献はしれてるとしても、率先して杉ヒノキを使おうという気持ちも起きる。
板張りの家は最近あまり見かけなくなったが、緑の多いところだと景観にうまく溶け込むので、別荘地なんかでは目につく。ざっくりとした木綿服のように、威張ったところのない、やさしい印象の建物になる。
また板壁は雨風にさらされて、時間とともに変わっていくのも自然で好ましい。
じつは我が家のようなローコスト住宅にとって、板張りの外壁は安くない選択だったが、この一点だけ似つかわしくない贅沢をした。
杉の板材は既製品ではなく、いつも製材をお願いしている藤岡市のS製材さんに頼んで挽いてもらった。もうすぐ加工が終わって出来上がってくる。
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